4.料金体系を把握しよう

この項の流れ

  • 海外サーバの込み入った料金体系について説明します
  • 利用するとお得なクーポンについて説明します
  • クーポンの探し方について説明します

 ランキング、レビュー、スペックと絞っていくと、残るのは甲乙つけがたい最終候補ということになる。ここまでくると料金の比較しかない。同じレベルであればできるだけ安いところと契約してお得なサーバを見つけられたと達成感を得たいものである。
 ここまででいくつかホスティングサービス会社のサイトを見てきた人であれば、「料金の比較は簡単だよ。だってトップページにでかでかと書いてあったじゃん。あれ、だいたい覚えているから一番安いところもすぐわかるよ」と言いたくなるかもしれない。たとえば、日本人のユーザが多そうなWebhostingpad。「今なら」「今日だけ」と煽りつつ、通常料金6.95ドルのところ「1.99ドル」と毎日表示している。

 容量、転送量無制限で月2ドルは海外サーバとしても破格である。なんだ、じゃあここで決まりじゃん……となかなかならないのがころが魑魅魍魎の住む世界といわれる所以たるところ。なぜ簡単にいかないのか。それは海外サーバのほとんどが複数の料金を持っている、つまり多重価格であるためだ。月2ドルはある特定の条件下でのみ適用される料金なのである。

契約期間から実際の価格を調べる

 こんなにでかでかと1.99ドルと書いてあるし、他に料金は見あたらないから、誰がいつ契約しようが1.99ドルでしかあり得ないんだろう。「動画 動画 動画」と書かれているアダルトブログのリンクの一つ一つに丁寧にマウスカーソルを乗せていって、動画ファイルへのリンクを確認するような人でも、企業サイトで断言されていれば普通そう思う。ところが、実際の料金設定は1.99ドルの場合もある、というものだ。Webhostingpadの料金表を見てみよう。

 上のキャプチャでわかるように、月1.99ドルで済むのは4年か5年契約したときのみ。1年契約だと3.95ドルと並みの数字に落ち着いてしまう。
 価格差が大きいのでWebhostingpadを例に出したが、この表記方法はWebhostingpadに限ったものではない。海外サーバはほぼどこでもこういう書き方をしている。サーバを4年契約で借りる人というのは、ものすごく少数派のような気がするが、そんなごく一部の人にだけ適用する料金を、ユーザがすべての人に当てはまると錯覚してしまうほどの大きさで表示してしまうのが海外サーバなのである。

 自分は数年先も絶対にサイト運営をしているし、ホスティングサービス会社も100%存続していると信じられるというのであれば、お得だからと数年レベルの契約もいいかもしれないが、個人的な見解として、日本の球団が故障明けの元メジャーリーガーの35歳と3年契約するようなものだとしか思えない。第一、日進月歩のIT関連のサービスで年をまたぐ契約というのはどう考えても長いように思う。
 契約期間によって価格が違うところは国内でもたくさんあるが、海外が違うのはトップページである特定の条件下での価格をそれしかないように言い切ってしまっていること。繰り返しになるが、Webhostingpadを例に挙げたがほぼどこでもやっているといっていい。なので、トップページで提示されている価格に惑わされず、自分が使いたいと考えている期間を基準にして価格を比較する必要がある。

クーポンを使おう

 表示の仕方が紛らわしいことには違いないが、利用期間で料金が違うという制度自体は国内にもあるのだから考え方としてはわかりやすい。
 実はここからが本番で、わざわざstrongタグを使ってまで多重価格であると強調したのは「クーポン」の存在があるためだ。身近なところではコンビニに置いてあるお茶のキャップの辺りに付いてくる、弁当と一緒に買うと弁当が30円引きになりますよみたいなあれだ。このクーポンが海外ではサーバでも使える。しかも割引の仕方が何種類もある。

 海外サーバでのクーポンを説明する前に、国内ですごく似ているビジネスのやり方があり、理解の手助けになるはずなので先に書いておこう。
 旅行へ行くとき、ホテルの宿泊予約を皆さんはどうしているだろうか。おそらく、予定がはっきりしているときは旅行代理店に出向くか、楽天トラベルのようなネットの宿泊予約サイトを使って○○プランといったものを通じて宿泊予約をすると思う。もちろん、正規の宿泊料金よりもずっと安く泊まれるからだ。みんなこのことを知っているから、宿泊当日に飛び込みで「今日泊まりたいんですけど」という人はほぼ皆無だろう。もしそれで泊まれたとしても正規の宿泊料金を支払う羽目になる。
 海外サーバもまったく同じで表向きの価格よりずっと安く契約できるクーポンが常に存在している。なので、クーポンを使わずにトップページや料金表に書かれた数字を鵜呑みにして契約するのは非常に損なのだ。

 上のキャプチャはHawk Hostの契約画面のものである。Hawk Hostのスタンダードプランは一カ月契約で5.95ドル。トップページでは下のようにマスコットキャラクターが親指を立ててアピールしている。

 当然のことながら、なにもせずに普通に契約すればこの料金になる。
 ここでクーポンを使うとどうなるか。Promotional Codeという入力欄に恒久的に25%引きになる「Twitter」というクーポンコードを入れてみる。

 すると、上のように5.95ドルから25%引かれて毎月の支払いが4.46ドルで契約できる。一カ月契約ぐらいだと割り引かれる料金はぜいぜい1ドルちょっとかもしれないが、半年契約、年契約ぐらいでオプションの月2ドルの独自IPを付けた額から25%OFFというとこになると結構まとまった額になるので侮れない。また、他に最初の支払いのみ(first paymentと注釈が入っている)50%OFFとか、ブラックフライデー(11月後半の金曜日に行われる、全米をあげてのセールみたいなもの)のスペシャルクーポンとかいろいろあって奥が深い。この辺、会社によっていろいろあるので契約を考えているところのもっともお得なクーポンを探すというのも海外サーバ探索の楽しみの一つだ。

ホスティングサービスでよくあるクーポンの種類

種類 内容
初回契約時限定  初回契約時のみ有効なクーポン。説明文にfirstなになにと入っていたらだいたいこれ。50パーセント程度の大幅な値引きが期待できる。たとえば、一年契約で通常60ドルであれば30ドル、三カ月契約で30ドルだったら15ドルで済む。契約期間を更新する場合はクーポンは適用されず定価での支払いになる。最初から使用期間が決まっていて更新する予定がないのであれば、このクーポンが一番お得。
期間限定  初回契約時限定クーポンに、割引期間の縛りも入れたもの。通常月額5ドルのところ、最初の一カ月のみ1ドルなど。
恒久的  契約を更新する限り有効な割り引きが与えられるクーポン。たとえば、半年契約した場合、最初の六カ月が終わって、更に次の六カ月も契約を延長するとした場合、前の六カ月と同じ価格でサーバを使うことができる。初回契約時のみ有効なクーポンと比べると値引き幅はあまり大きくないことが多いが、サーバを信頼しており、長く契約するつもりならこのクーポン。
プラン別  VPSプランのみオフなど、特定のプランのみ有効なクーポン。

 繰り返しになるが、クーポンはほぼすべてといっていい会社が常に発行しており、使わないのは絶対に損である。問題はクーポンコードをどこで手に入れることができるかだが、公式ブログやツイッター、フェイスブックでというのが基本である。ただ、いちいちそういったものをフォローしてられないと思うので、Googleに使いたいサーバの名前とcouponという文字列を入力して検索するのが一番手っ取り早いだろう。クーポン情報を掲載しているRetailMeNotというサイトでサーバ名を検索してみるのもよい。

サイト紹介:RetailMeNot

RetailMeNot

 クーポンコードの紹介をしているサイト。サーバ名で検索すると、クーポンが存在すればトップページのキャプチャ画像と共にコードが並んでいるページへのリンクが表示される。
 コードの横に「○○% SUCCESS」なる数字が表示されているが、これは実際にクーポンを使ってちゃんと割引されたかどうかというアンケート結果が示されている模様(つまり、ここの数字が低いクーポンは使えない確率が高いということ)。

変則的なクーポンに注意

 クーポンコードは発行月+西暦というのが結構定番で、2010年12月に発行されたものなら「december2010」なんていうふうになっている。これを入力欄に貼りつければ完了……と全部の会社でこうなら簡単なのだが、なかにはパズルを解かせるように特定の経路を辿らせることで割り引きを実現させるところもあって一筋縄ではいかない。いくつか例を挙げてみよう。
 まずは何度目かの登場のBluehost

 通常、トップページにアクセスすると上のような画面が出てくるが、特定のサイト(たとえばTOP 10 Web Hosting)にあるリンクを経由すると、

 なんと通常料金に赤い打ち消し線が引かれて割引料金が表示される。

 つづいては格安海外サーバファンの間で「Just Hostの例のアレ」として有名な仕掛け。

 契約画面のどこかで「やっぱやーめた」とブラウザのブックマークなどをクリックして他サイトへ行こうとすると……。

 アメリカ人美女の画像と共にチャット画面がポップアップして「20%OFFにするからどう?」と誘ってくる。ちなみにこちら側から文字を打ち込んだりすることは可能だが、『It's gin also in the United States. America gin.(アメリカでもジンだな。アメリカジン)」』と2010年12月頃のトレンドにかけたジョークを書き送っても華麗にスルーされ、ドメインが一個無料で付いてきますよなどと更に煽られる。

 リンクをクリックすると最初の契約画面にはなかった20%OFFの文字が。ここで再び「やっぱいいや」と移動しようとすると、

 別のお姉さんが引き留めにかかる。そして今度は50%OFFにするからとお願いされる。

 契約画面には確かに50%OFFの文字が。

 よく見ると契約画面下部のクーポンコード入力欄になにやら勝手に入力されているのがわかる。つまりこういうとだ。

 Just Hostには「20%OFF」と「50%OFF」のクーポンコードが存在しており、特定のイベントが発生すると彼らは契約画面の入力欄にコードを自動入力し、クーポンの存在を知らない、またはクーポンコードがわからない人にも割引価格で契約できる可能性を提供している。

 ネタっぽく見えるかもしれないがやっていることは結構良心的である。

 ステルスクーポンとでもいおうか、海外サーバ独特ともいえるこうした手法はまるで子供相手のハロウィンやクリスマスの宝探しゲームにしか思えず馴染めないかもしれないが、心と時間に余裕があればGoogleなどの検索エンジンを活用し積極的に探して使った方がお得なのは間違いない。

このページで紹介したサーバ

サーバ紹介:Webhostingpad

Webhostingpad

 ランキングサイトでは常連で価格のインパクトと相まって日本人ユーザは多そう。ただ、ユーザレビューサイトでの評判はどこもあまり芳しくなく、特にサポートに対しての不満が綴られている。破格の料金は海外サーバでも異例といえる長期契約が前提となるので、ユーザレビューの記述を信じるならば初めてサーバを借りるような初心者には不向きかも。

スペック表(詳細な表はこちらから)
料金 容量 転送量 ドメイン サブドメイン データベース 独自SSL
$1.99~$7.95 無制限 無制限 無制限 無制限 35~58

このページのまとめ

  • 海外ホスティングサービス会社のトップページに大きく掲載されている料金は、一般的な料金ではないことが多いよ
  • 契約期間が長ければ長いほど月あたりの料金が安くなるよ
  • そのまま契約するのは絶対損! クーポンを使って安くしよう
  • 一つの会社で、割引率が違ったり、適用出来るプランが異なるクーポンがあったりするから、自分に適したものを探してね
  • クーポンは公式サイトとかツイッター、フェイスブックのページで探せることが多いよ
  • ゲーム感覚で探すクーポンもあるから、一番お得なものを見つけよう

    ▲このページの先頭へ戻る