1.海外共有サーバの利点

この項の流れ

  • 国内サーバではなく、海外サーバをあえて使うことの意味を説明します
  • 大手の国内レンタルサーバを紹介し、同価格帯の海外サーバと比較してみます
  • 国内サーバより海外サーバを選択した方がいいケースを説明します

 海外サーバを使っている人が挙げる利点は、「サーバの容量と転送量(サーバからダウンロードされるファイルサイズの合計)が無制限のところが多い」というものが多そうだが、私は一般的なユーザであれば、この理由はさほど利点ではないと思う。運営しているサイトのファイルサイズの総量がテラバイトレベルとか、一日の転送量が数GBを超えるとか、そんな人は滅多にいないだろうし、むしろ、“常識的な範囲内で”みたいな隠し枕言葉をつけられた状態で運営を続け、ある日突然、予告なく「常識外の転送量があったから」とアカウントを停止されるのが怖い(海外サーバにおける無制限とは、普通にサイトを運営しているなら制限は掛けないという意味であり、録り貯めた動画ファイルをひたすらアップなどという場合は警告される可能性がある)

 では、なぜ英語と格闘してまで海外サーバなのかといえば、私の場合、自由度が高くていいサービスを国内の同等のサービスよりもずっと安く使える可能性があり、また、英語だらけのサイトを渡り歩いてそういうサーバを運営している会社を探すのが面白いからということだ。
 面白いというのはたとえばこういうことである。――ファミレスへ行って日替わりランチを頼めば無難であることはわかっている、500円ぐらいで収まるしスープも無料だ、でもなにか他にないかと探し歩いていたら、偶然立ち寄ったビルの地下にある居酒屋が350円で賄いをアレンジしたうまい定食を出しているのを知り、「いい店を発掘したぞ」とお腹も心も満たされた――。節約できるお金はわずか150円。いくらうまいといったって味はランチとして想定の範囲内。ファミレスへ行くよりも時間が掛かる。それでも自分の足で見つけた感覚が楽しいのだ。とても大事なことなのでこの段階で書いておくが、こうした探索作業が面倒だと感じる人は海外サーバを使うのはやめた方がいい。AVの素人ナンパ物で、本当に素人で、なおかつ美人を探し出すような作業だ。多分、途中で空しくなる。

 今、私はHawk Hostという海外サーバで機能別にだいたい以下のようなことをしている。

  • XOOPS(国内でよく使われているCMS。当サイトもこのCMSで構築している)で構築したサイトの運営(MySQL、PHP)
  • EC-CUBE(日本製のショッピングカートスクリプト。MySQLでも動作するがPostgresSQLに最適化されている)で構築したサイトの運営(PostgresSQL)
  • Twitterへの分刻みの自動投稿(cron)
  • 独自SSL

 おまけに、私は行っていないがアダルトサイトの運営も可能である。国内の著名な共有サーバで上記のことがすべてできるところというのは今すぐには頭に浮かんでこない。アダルト可も条件に加えるなら探すのは大変なことになるだろう。たとえば国内二大サーバといえる、さくらインターネットXREA(CORESERVER)だと、さくらにはPostgresSQLがない。XREAではcronを分刻みでは動かせない。もっと挙げてみよう。ロリポップはPostgresSQLと独自SSLがない。エックスサーバーにはPostgresSQLがない。では、国内で上のサービスを全部動かせる共有サーバはどこか。今、すぐに頭に浮かんでくるところはないが、あったとしてそのサーバの月の使用料金は1000円はまず間違いなく超えてくるはずだ。

月額5ドル(400円~500円)の国内外サーバ比較表

料金 容量 転送量 ドメイン サブドメイン データベース 独自SSL
国内 500MB~3GB 無制限 1~20 10~無制限 1 不可
海外 1GB~無制限 無制限 10~無制限 無制限 10~無制限

※なお、この比較は特定のサーバを対象としたものではなく、私が思うイメージである。一般的なサイト運営において影響があり、国内と海外で大きく違う項目は「付けられるドメインの数(海外はほぼ無制限)」、「データベースの数(国内のサーバはなぜかここを極端に少なくする。スパムサイトのようなものを大量に作らせたくないから?)」の二つである。

 では、私が使っているHawk Hostの料金はどうか。なんと日本円で月350円程度(2010年12月のレート)である。もちろん、独自SSL関連の料金込みでだ。円安になれば変わってくるが1000円までは相当遠いといえる。安くてもトラブルが多ければ値段相応ということになるが、一年使って特にこれといった問題はない。サポートも速く、一度、問い合わせのメールに30秒で返信してきたときがあった。
 仮に国内で上記のことが1000円でできるところがあったとして、節約しているお金は600円程度。麻美ゆまの新作AVを借りるのは週に一回の割安料金の日だけにすれば三本分ぐらいで回収できそうな金額である。しかし、重ねていうように利点は面白さ。月額350円でできるところは国内には(多分)存在しない。それを海外に目を向けて探しに行って発見する。宝探しの冒険ともいえる。それが海外サーバ探索の醍醐味だ。

 海外サーバはすごいという言葉はよく聞くが、はっきりいって中身に関していえばお金を出せば国内のサービスで事足りる。それは当然の話で、サーバという機器とプログラムを使っていることでは海外も国内も一緒なのだから、海外ではできて国内では絶対不可能なことなんてあるわけがない。価格と中身のバランスがすごいという言い方はできるが、前出の通り、「無制限」という言葉には大抵「常識の範囲内で」とか「サイト運営で使っている限りは」といった言葉が枕につくし、すごいという言葉を使うほどすごくはない。管理者の裁量でなんでもできて月額1000円以下の国内VPSや、本当に転送量無制限の自宅サーバの方がよほどすごい。また、海外サーバの安さにのみ興味のある人に対しては、サーバを探している時間とトラブル時に英語と格闘する時間を時給で換算すれば、節約できるお金と見合うかどうかは相当怪しいという事実をここではっきりと伝えておきたい。

 上記のことを受け入れた上で、

安価な国内サーバを使ってだいぶサイト運営というものに慣れてきたので、制約の少ない自由度の高いところへステップアップしたい、ただし選択肢は同じ価格帯かそれ以下のサーバ。

 という意志がある人なら海外サーバを探すことはメリットがあるだろう。そこから価格は多少上がってもいいから更に自由を求めたいということになれば VPS、お金に糸目はつけないからストリーミングの動画配信とかなんでもありでやりたいというのであれば専用(自宅)サーバを考えればいいと思う。

このページで紹介したサーバ

海外サーバ紹介:Hawk Host

Hawk Host

 もし、当サイトを見ているのが2011年だったら、多分当サイトが置かれているサーバ(2012年以降であれば記述している時点では不明)。サポートチケットにCEOが対応するぐらいの規模の会社だが、それゆえのフットワークの軽さを気に入って使っている。サーバソフトはApacheではなく互換のLiteSpeedというもので若干癖があるような気がしないでもなく、Apache使用のサーバから移行するときは.htaccess周り(特にmod_rewriteが意図したように動作するか)を一応確認しておいた方がいいと思う。

スペック表(詳細な表はこちらから)
料金 容量 転送量 ドメイン サブドメイン データベース 独自SSL
$3.29~$12.95 3GB~24GB 30GB~240GB/月 無制限 無制限 無制限

国内サーバ紹介:さくらインターネット

さくらインターネット

 国内でもっとも有名なホスティングサービス会社の一つ。マザーズに上場している。専用、VPS、共有とすべてのレンタルプランを網羅しており、その内容、価格は国内サービスの一つの基準といえる。共有サーバはPHP.iniをいじれたりと比較的自由度が高いが、そのわりにMySQLの数が1個から3個とかなり厳しく制限されているのは不思議といえば不思議である。

スペック表(詳細な表はこちらから)
料金 容量 転送量 ドメイン サブドメイン データベース 独自SSL
\125~\4,500 1GB~150GB 3GB~60GB/日 20~40 20~40 0~3 可(ビジネスプロのみ)

国内サーバ紹介:XREA

XREA

 中級者以上向けとして有名な国内サーバだが、その所以はどこからどうやって料金を支払えばいいのかわからないことだとも囁かれている。安価なサーバとしては珍しくPostgresSQLが使えるのも大きな特徴の一つ。自由度が高く、共有サーバでできることとできないことをおおよそ把握できるという意味で国内ではもっとも鍛えられるサーバ。CORESERVERという上位プランがあり、現在はそちらの方がメインになっている。

XREA

スペック表(詳細な表はこちらから)
料金 容量 転送量 ドメイン サブドメイン データベース 独自SSL
\0~\400 50MB~3GB 1GB~3GB/日 20 20 5+5(MySQLとPostgresSQL) 不可

CORESERVER

スペック表(詳細な表はこちらから)
料金 容量 転送量 ドメイン サブドメイン データベース 独自SSL
\208~\3,990 10MB~200GB 100GB~750GB/月 50~無制限 50~無制限 10~無制限

国内サーバ紹介:ロリポップ

ロリポップ

 初心者向けとして有名な国内サーバ。XREAと違い、料金の払い方もすぐわかる。ポップなデザインやネーミング、そして学生でも手が届く料金など、有料レンタルサーバの敷居を下げたという点で功績大。ドキュメントルート外にフォルダを作ったりファイルを置いたりできないなど自由度は低めだが、あえてできることを少なくしてはっきりさせるというのも戦略の一つだろう。

スペック表(詳細な表はこちらから)
料金 容量 転送量 ドメイン サブドメイン データベース 独自SSL
\105~\525 2GB~30GB 1GB~10GB/日 20~100 10~500(1ドメインにつき) 0~5 不可

国内サーバ紹介:エックスサーバー

エックスサーバー

 機能的にはさくらとXREAを足して二で割ったような感じで、料金はやや高め。アフィリエイトに力を入れていて国内サーバランキングサイトでは定番のサーバ。料金が月額1000円を超えているからか、なんとなく落ち着いた雰囲気がある。サイトデザインが昔と比べると明らかに垢抜けており、会社が大きくなって社員が増えたんだろうなということを強く伺わせる。

スペック表(詳細な表はこちらから)
料金 容量 転送量 ドメイン サブドメイン データベース 独自SSL
\1,050~\5,040 40GB~160GB 150GB~450GB/月 無制限 無制限 35~58

このページのまとめ

  • このサイトはHawk Hostで運営されているんだよ
  • 表面的なスペックに限れば、月350円ぐらいで国内の月数千円クラスのサーバに並ぶところもあるよ
  • 月額4ドル~8ドル、容量、転送量、データベース無制限が海外共有サーバの標準的なスペックなの
  • 海外サーバの『容量無制限』と『転送量無制限』には常識の範囲内でと付くことが多いよ~
  • 海外サーバは国内サーバと比べて概ね安くて自由度が高いけど、探すのもメンテナンスも結構めんどくさい
  • 自由度が高いといっても、VPSや専用サーバの自由度には余裕で負けちゃう
  • 安いという部分にとらわれると結局損をするかも
  • 好奇心旺盛でサーバをゲーム感覚で探せるような人には向いてるよ

    ▲このページの先頭へ戻る