6.海外サーバーを使ってみよう

この項の流れ

  • cPanelについて説明します
  • サイト開設前にcPanelで設定すべき項目について説明します
  • それぞれの項目の設定方法を具体的に説明します

 支払いが済むと、サーバの設定に必要な、

  • コントロールパネルのアドレス
  • コントロールパネルにログイン及びサーバにファイルをアップロードするためのアカウントとパスワード
  • サーバのアドレス
  • ネームサーバのアドレス
  • POP3、SMTPのアドレス及びパスワード

 この辺の情報がメールで送られてくる。内容については海外サーバと国内サーバの違いというのはほぼないと言っていい。FTPクライアントソフトを用いての、サーバへのファイルのアップロード、メールソフトの設定などは、まったく同じやり方で行えると言ってさし支えない。

 大きな違いがあるのはコントロールパネルだ。
 コントロールパネルでは、ドメイン及びサブドメインの設定、バックアップの取得、データベースの開設、メールアドレスの作成、アクセスログの閲覧など、ユーザがサーバを使うにあたって必要な設定を行える。
 レンタルサーバで出来ることというのは、はっきり言ってほぼ決まっているので、すべてのサーバ会社で共通のコントロールパネルを使ってくれれば、ユーザの利便性はぐっと上がると思うのだが、なぜか国内格安サーバの場合、コントロールパネル部分は自社開発(?)で作られていることが多く、見た目も操作方法もまったく違う。たとえば、下の二つの画像は、XREAのコントロールパネルとCPIのコントロールパネルだが、別物であるということが一目でわかると思う。

 よって、国内においてはサーバを移転するたびにコントロールパネルの操作方法を一から覚える必要がある。よく、日本の携帯電話はガラパゴス携帯(狭い市場で独自の進化を遂げ、世界標準のものとはまったく違う物になったという意味)と呼ばれるが、日本のサーバ会社のコントロールパネルも相当なガラパゴスだ。
 ところが、海外格安サーバの場合、かなりの高確率でcPanelというプログラムが使われている。cPaanel以外のプログラムを使っているところを探す方が難しいという状態だ。そのため、一度cPanelの操作方法を覚えれば、その後、どこのサーバに移ってもコントロールパネルの操作方法でまごつかなくて済む。これは海外サーバを選択するメリットの一つと言っていいだろう。

cPanelの使い方

 サーバを借りるのが初めてでコントロールパネルに触るのは初めてという場合は、すんなりcPanelを使えると思うが、国内サーバから海外サーバに移ったという場合、国内のガラパゴスコントロールパネルよりもcPanelの方が特殊、あるいは使いづらそうに見えるかもしれない。これは、各設定のアイコンを一画面ですべて表示するといった感じのごちゃごちゃインターフェイスが要因だと思う。

 上から順に重要というわけではなく、懇切丁寧な説明文がついているわけでもなく、更に言うなら、海外サーバのcPanelのデフォルト言語は英語なので、なにからやっていいのかさっぱりわからないということになりがちである。

 とりあえず、表示言語を日本語に変更してみよう。「Preference」という項目にある「Change Language」をクリックし、日本語を選んで変更ボタンを押す。

 そうすれば、上のように表示が日本語に切り替わるはずである。しかし、Hawk HostのcPanelはかなり前から日本語表示が出来なくなっている。もしかすると、新しいバージョンのcPanelには日本語の言語ファイルが存在しないのかもしれない。
 ただ、その場合でもアイコンと英語を見れば、なんの設定へのリンクなのかはだいたい見当がつくと思うのでそれほど問題ないだろう。

 cPanelの操作方法は上記のように、設定したい項目のアイコンをクリックし、候補を選択する、あるいは書き込んで変更ボタンを押すというだけである。見た目には複雑な印象があるが、慣れれば使いやすいプログラムと言える。

cPanelでサイト開設にあたっての重要項目を設定する

 平均的なサイトの運営を開始する場合、cPanelで設定する項目は五つ程度で済むと思う。

  1. 独自ドメイン、もしくはサブドメインを使う
  2. データベース(MySQL)を使う
  3. メールサーバを使う

 以上、三つの条件を満たす設定例を書いていこう。

アドオンドメイン(英語表記:Addon Domains)

 まず、所持しているドメインとサーバのフォルダを結びつける。ドメインを取得したサービス(たとえば、バリュードメインで取得したのであれば、バリュードメイン)のDNS設定でドメインをサーバに向けてから、上の画像の1の部分に所持しているドメインを入力する。
 2に入力するのは、メインドメインのドキュメントルートにしたいサーバのフォルダだ。「public_html」がデフォルトのドキュメントルート(以下のフォルダはインターネットに公開される)だとすると、上の画像の「文書ルート」の右にある家のアイコンが「public_html」を表している。もし、2になにも入力しなければ、1で入力したドメインのドキュメントルートは「public_html」ということになる。
 独自ドメイン一つのみでサーバを運営するならそれでもいいのだが、メインドメインのほか、サブドメインをいくつか作って複数のサイトを運営する場合、「public_html」以下にフォルダを作成し、そこをそれぞれのドメインのドキュメントルートにした方が使い勝手がいいのだ。なにを言ってるのかさっぱりわかんねという人は、下のツリーを見てほしい。

複数のドキュメントルートを並列にする

 public_html
 └domain
  ├main(←ここをexample.comのドキュメントルートにする)
  │├images
  │└index.html
  └sub(←ここをsub.example.comのドキュメントルートにする)
   ├images
   └index.html

 ドメインのドキュメントルートを並列にすると、管理しやすくなるのがわかると思う。

複数のドキュメントルートを階層にする

 public_html(←ここをexample.comのドキュメントルートにする)
 ├sub(←ここをsub.example.comのドキュメントルートにする)
 │├images
 │└index.html
 ├images
 └index.html

 メインのドメインとサブドメインのドキュメントルートを階層にすると、サブドメインのドキュメントルートが、メインドメインのドキュメントルートに混ざることになり、管理しづらくなる。
 というわけで、ドメインのドキュメントルートはメイン、サブ関係なく、並列に並べることを意識して設定していくといいだろう。もし、「public_html/domain/main」フォルダをメインドメインのドキュメントルートにしたい場合は、2に入力するのは「domain/main」ということになる。

 3に入力するのは、2で決めたドキュメントルートにFTPクライアントソフトでアクセスするためのユーザー名である。サーバでサイトを運営するのが自分一人という場合は、ここに入力したユーザー名は使わないと思うのでaでもhogeでもなんでもよい。契約時にサーバから送られてきたFTPのアカウントとパスワードでアクセスすればいいからだ。4に入力するのは、3で設定したユーザーが使うパスワードということになるが、これについてはサーバから送られてきたパスワードを流用するのが安全だろう(3のユーザー名をa、4のパスワードもaとしたら、ドキュメントルートにFTPでアクセス出来るユーザ名とパスワードの組み合わせがaとaということになり、瞬く間に突破されてしまいそうだ)。5には4で入力したものをそのまま入れよう。

サブドメイン(英語表記:Subdomains)

 サブドメインの設定はメインドメインの設定とほとんど同じである。1には、メインドメインに対する子の部分を入力する。アドオンドメインで設定したのが「example.com」で、「sub.example.com」というサブドメインを作りたいのであれば、「sub」を入れるということになる。
 2では、アドオンドメインで設定したものを選択する。設定したドメインが一つしかないのであれば、なにもせずとも表示されているだろう。3に入れるのは、サブドメインのドキュメントルートにする、サーバのディレクトリだ。

MySQLデータベース(英語表記:MySQL Databases)

 Mysqlのデータベース作成は、ドメインの設定と比べるとほんの少しだけ込み入っているが、順を追って行えばスムーズに出来るだろう。
 まず1で、作成したいデータベースの名前を決める。次に、2でデータベースにアクセス出来るユーザを作成する。
「あれ、ユーザって、契約時に送られてきたサーバのユーザアカウントじゃ駄目なの?」とか「アドオンドメインで作ったユーザじゃ駄目なの?」と思うかもしれないが、FTPでサーバにアクセス出来るユーザとデータベースにアクセス出来るユーザはまったく別である。
 3でパスワードを決めて、4に3で入力したものを再入力、データベース作成の最大のポイントは5で、1で「db」という名前のデータベースを作成し、2で「db_user」というユーザを作成した場合、5でユーザとして「db_user」、データベースとして「db」を選択し、追加ボタンをクリックする。つまり、作成したユーザとデータベースの紐づけ作業を行うのだ。これで「db」に、3で決めたパスワードで「db_user」としてログイン出来るということになる。なお、データベース名、ユーザ名、それぞれに接頭語がつくこともある。
 もし、データベースを使うのが自分一人であれば、最初にユーザを作って、後はデータベースを作成するごとに5に飛んでユーザと作成したデータベースを紐づけていけばいい。

上記の例でWordPressを設定するなら

phpMyAdmin(英語表記:phpMyAdmin)

 データベースを作成したら、phpMyadminでデータベースの言語設定を行う。サーバというのは、当然、ホスティングサービス会社がターゲットにしている場所の言語で使うというのが前提になっているので、アメリカのサーバであれば、日本語で使うことがデフォルトにはなっていない。そのため、データベースをそのまま使うと、日本語はlatin1辺りで処理されてしまうということになる。
 phpMyAdminで、日本語はで日本語として処理するように設定しよう。なお、文字コードはUTF-8とする。

 cPanelのphpMyAdminアイコンをクリックすると、ダイレクトにphpMyadminへと飛ぶ。まず、1の部分で開設したデータベースの名前を選択しよう。その後、2の「SQL」というリンクをクリックする。なお、phpMyAdminはサーバによってインストールされているバージョンが異なり、また、バージョンが異なると外観がかなり違う場合があるので、必ず上の画像通りの画面が表示されるとは限らない。

「SQL」をクリックすると、SQLの入力フォームが出るので、

 上記のSQL文を入力して適用ボタンを押そう。「db」のところは、MySQLデータベースで作成したデータベース名(接頭語がついて作成された場合は接頭語込みの名前)に差し替えること。この処理は、データベースを作成したら、その都度行うことを忘れずに。

 ここまででサイトの立ち上げが可能になる。

Eメールアカウント(英語表記:Email Accounts)

 サーバをメールサーバとしても使いたいという場合だが、cPanelでメールアドレスを作れる。1で@の前にくるアカウント名を入れ、2で設定済みのメインドメイン、もしくはサブドメインを選択、3にメール用のパスワード、4に3に入れたものと同じものを入力し、作成ボタンを押せばよい。

 ……と思うが、実はcPanelでメールアドレスを作ったことがないので、間違っていたらごめんなさい。

サイト運営を行う上で役に立つcPanelの項目

 上記、五つの項目の設定を行うことでサイト運営を開始出来るが、運営を続けていく上で知っていると役に立つcPanelの項目を紹介しよう。

Awstats(英語表記:Awstats)

 グラフィカルなアクセス解析プログラムである。理屈はよくわからないが、勝手に日本語表示されるような気がする。データ更新のタイミングはサーバによって違うと思うが、大抵、リアルタイムではなく、一日一回ということになるだろう。

バックアップ(英語表記:Backups)

 自分の領域内(ホームディレクトリ)にあるファイルすべてと、データベースのファイルを現在の状態でダウンロード出来る。それぞれgzipで圧縮されており、展開すればサーバにある通りのファイル構成で復元出来る。

クロンジョブ(英語表記:Cron Jobs)

 特定のファイルを定期的に実行するためのプログラム。たとえば、ツイッターのボットプログラムの実行ファイルを入力すると、決まった時間にツイートさせることが可能である。
 1に時間を入力し、3で実行ファイルの絶対パスを指定するという流れになるが、2で、よく使われる時間例(一時間ごと、一日ごとなど)を選択すれば、1で直接入力する必要はない。

ファイルマネージャ(英語表記:File Manager)

 ブラウザ上で使えるファイルマネージャ。サーバ上にある相当数のファイルの削除、あるいはコピー、移動などを行う場合はFTPクライアントソフトを使うよりもずっと速く出来る。

ローアクセスログ(英語表記:Raw Access Logs)

 赤で囲った領域内にあるドメインをクリックすると、そのドメインで運営しているサイトの、リアルタイムのアクセスログをダウンロード出来る。gzipで圧縮されているので、ログをエディタなどで開くには解凍が必要。見やすい形にしたい場合は、WebLog Expertなどのグラフィカルなアクセスログ解析ソフトで読み込むといいだろう。

このページで紹介したサーバ

国内サーバ紹介:CPI

CPI

 料金やサポート体制から考えて、どちらかというと企業向けと言えるであろう、KDDIブランドのレンタルサーバ。競合するのはWebARENAカゴヤ•ジャパン辺りか。ディスク容量とデータベース容量が無制限というのは、日本国内の企業向けブランドではかなり珍しいと思う。

スペック表(詳細な表はこちらから)
料金 容量 転送量 ドメイン サブドメイン データベース 独自SSL
\3.990~\4,620 無制限 50GB/月 無制限 無制限 無制限

このページのまとめ

  • 料金を支払ってしばらくすると、サーバのアカウントとかパスワードがメールで送られてくるよ
  • 海外サーバのコントロールパネルは「cPanel」がほとんどだよ
  • だから、cPanelの操作方法を覚えれば、他のサーバに移転した時もコントロールパネルの使い方で戸惑わなくて済むんだ
  • cPanelは、日本語表示可能だけど、バージョンによっては無理かも
  • cPanelの設定項目はたくさんあるけど、サイトを立ち上げるだけなら、設定しなくゃいけないところはそんなにないよ

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